人をナイフで刺すということ

秋葉原の通り魔事件の加藤被告の初公判始まったようだが、
俺も過去に1度だけ人が刺されるのを
目の当たりにしたことがあった。

もう数年も前のことだが、夜中のバイトから車で帰宅中の深夜に
唐突にそれに遭遇した。

とある、下町の商店街の細い一方通行の道を徐行して走行していると
進行方向の先から、けたたましいクラクションの音が聞こえてきた。
音もさることがなら鳴らしている時間も長く、はた迷惑なその音は
商店街に反響して大音響で鳴り響いた。

俺はクラクションのうるさい音が大嫌いで、大きく鳴らすようなタイプの人間が苦手である。
ちなみに俺は、ほとんど鳴らすことはないが、鳴らしても軽くプッ程度である。
人にやさしくの精神が大事だと思うのである。

なので、誰だよ。こんな深夜にうるせえ奴だなあ。
と運転席から条件反射的にそちらの方向を見た。
クラクションを必要以上に大きく鳴らすのは、輩や気が荒い人間が多いもの。

遠めにブルーの清掃車が停まっていて、どうもその車が鳴らしたようだ。
車の前には、浮浪者っぽい風体の男が見える。
深夜の時間帯の清掃車は、物凄く時間に追われて忙しいのか、運転が荒く
猛スピードで飛ばしている車が多い。
深夜は委託業者が請け負っているようだ。
だから、深夜の清掃車の運転手ならありえるな。
と思った刹那、
運転席から、身長は190くらいあるであろう
大きな坊主頭の男がバ-ンと扉を開け放つように開いて
勢いよく浮浪者風の男へと向かっていくのが見えた。
遠めでも浮浪者は160cm代から170あるかないか程度に見える。

こりゃ、喧嘩が始まるぞ。
と思った。
反面、どんな戦い方をするのかな。などと俺は思ってもいた。
一般的な喧嘩は、距離を物凄く顔をお互いに近づけて
つめてつかみ合う展開が多いものだ。
そんな展開になるのかな。と予想をした。

遠めなので、よくは見えないけれども
清掃車の運転手が浮浪者に、距離をつめた瞬間に
男が浮浪者からパッと飛び退くように離れるのが見えた。

それを見て俺はあれ?と思った。
通常の喧嘩なら、まさにここから攻防が始まる瞬間だ。

大男は、びっくりしたようなリアクションで胸の上辺りを手で押さえている。

俺には理解ができた。

多分、浮浪者の男が何か凶器のようなもので刺したのだ。
男は、松田優作のように刺された場所を手で押さえながら、
何度も自分の手を見て出血を確認するように
そのままへたり込むように座ってしまった。

心臓ではないし、さくっと刺しただけなので致命傷にはならないだろう。
とそれを見て思ったが。
これは一大事である。
そう思ったときに、車の横を小柄な浮浪者風の男が
真後ろを一度も振り返ることもなく
ゆっくりゆっくりと歩を進めながら、こっちに向かって
ニヤニヤ笑いながら歩いてくるのが見えた。
年の頃、50.60代くらいであろうか。
笑いながら宙を見ていてこちらには目もくれない。
手には、大きなナイフのようなものが握られていて、
それをブラブラとちらつかせている。

こいつは普通じゃない。
世の中には、危ない奴がいるものだなと思った。
情けないことに、車から降りて取り押さえようとか、そういう選択肢は
俺にはまったくなかった。
こっちも死ぬ気でないと、こんな奴を制圧できるもんじゃない。
こりゃ、下手に関わるとやべえぞ。と思っただけだった。
また、クラクションを思いっきり鳴らした運転手のきっかけと行為に対して
俺が心情的に、さほど同情を感じ得なかったこともあったのかもしれない。

駅に近くだったので、俺の前や対向車にタクシーがいて皆が目撃していたので
各々で通報をした。
運転手の男はそのまま仰向けに倒れてしまい、救急車で運ばれていき
浮浪者の男は数時間後に近くで逮捕されたと聞いた。

加藤の事件だけでなく、たまに通り魔的にナイフで刺す事件があるが
現実は、この事件のように刺す。
刺されるまでがあっという間の瞬間的な出来事である。

無防備なら、到底防ぎきれるものではない。
運が悪いとしか言いようがないのだ。
被害者のご冥福を祈るばかりである。

世の中にはどんな人間がいるかはわからないもの。
うかつに調子づいて喧嘩などしないに越したことはないと思う。
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by masa3406 | 2010-02-04 04:15


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