友の死 その2

翌日、俺は高校サッカーの予選を高校の同級生と観戦する約束をしていて、
会場で午前中から試合に夢中になって観戦していた。
負けたら終わりのトーナメントで、高校生たちがグラウンドを所狭しと必死になって走り回っていて、
俺はそれを固唾を呑んで見守った。

秋から冬になる晴天の会場は心地良く、そのときの俺は高揚して、
頭の中はまさにサッカーの試合でいっぱいだった。

そうしているうちに、友人Bから午前中にメールが届いた。

見ると、午前中に入院している友人の携帯に電話をしたら、
本人は出られない状況らしく、
なぜか病院の人が出て、ご家族の方ですか?と聞かれ
ちょうど奥さんに電話をしようとしていたところです。と言われたそうで、
なにか様子がおかしく、まずい容態なんじゃないかと危惧しているという内容だった。

確かに、いくら患者がすぐに電話に出れない状況だからと、
患者個人の携帯に病院の人が出るのは妙な話だ。

2試合目が終わって会場からの帰り道に同級生と別れると、俺はすぐにBに電話をしたが、
何か危機的な状況にあるのかもしれないし、
あるいは検査をしているとかそうではないのかもしれないし、結局2人ともしばし待つしかないという
結論しか出なかった。
彼も関西に住んでいるので、おいそれとは出てこれない。
俺も、家族でもないし病院に行っていいのか悪いのかも判断がつきかねた。

奥さんの話だと、Bが電話をした時間帯は急に容態が悪くなった時間だったそうで、
それで病院が奥さんを呼ぶための電話をまさにするところだったのだろう。
そして、俺達がBと電話をしていた頃には、もう亡くなっていたのだそうだ。

それを知らず、俺はその日の夜に電話に友人の携帯に電話を入れてみたけど、
主を失った携帯には誰も出ることはなかった。

そうして、今日の夕方に奥さんから携帯に電話がかかってきたわけで、
今までは、何回も生還してきた友人もついに力尽き、
俺達の危惧していた結果以上の最悪な結果になったわけだ。

突然。あっけない。と表現するしか他になく、

突然すぎて頭の整理がつかないし、なんで彼が会いたいときに会わなかったのかとか、
後悔の念はいくらでも湧いてくる。
なによりも、もうあいつと話ができないかと思うと寂しくて仕方ない。
これまでの想い出は、尽きないほどにあり、数々の情景が浮かんでくる。

彼とは社会に出てから友達になった親友の1人だが学年も同級生。
同じ時代を生き続けた親友を失うのは喪失感が大きい。

人は失ってから大切さがわかるとよく言うが、その通りなのをいま感じている。
奴は大病を患っていたのに、のん気にいつでも会えると思って、俺は甘く考えていたのだ。

俺は実は、ちょっとした個人的な問題があったのだが、彼は一昨日の電話でもそれを気にしてくれていた。
あんな体調が悪い状況でも、俺のことを心配してくれた心優しい友人に申し訳ないと思う。

奥さんとの電話が終わると、すぐにBから電話があり奥さんから知らされたとのことで、
2人してまさか昨日のがね・・。となって、いろいろ話し込んだ。
Bはたぶん泣いていたと思う。

それから俺は、共通の友人に電話をしたりメールをしたりで、奥さんから聞いた
お通夜や告別式の日程を連絡した。
ある共通の女性の友人は、お見舞いに来いと言われて今月の頭に行ったらしく、
彼がそんなことを言うのは珍しいらしく、たぶん死期を予期していたんじゃないだろうか。
というようなことをしみじみと語っていた。

俺もちょうどその頃に着信があった記憶があるし、もしかしたら俺も呼ばれていたのかもしれないと
どうしてかけ直さなかったのかと悔やまれて仕方ない。

彼女は元気な姿しか見たくないので、お通夜には来ないそうだ。
いつもバイタリティーがあり、強気だったあいつの姿を見ていたわけで、
亡くなってしまった姿を見るのは耐えられないのだろう。

豪胆だけど、繊細で寂しがりやで、臆病なところもあり、
そんな彼だからこそ、酒で体を壊してしまったのかもしれない。

子供っぽさや無邪気さがあり、博学で女にもモテた彼の人間的な魅力が
この世から失われるのはあまりにも残念なことだ。

よく考えたら、あいつの遺体と対面をするわけで、
俺もその現実を受け入れられるだろうか・・・。

奥さんが、主人も喜びますのでぜひ会いに来てください。と言ってくれた優しい言葉に
彼が縁で繋いだ素晴らしい仲間と一緒に会いに行き応えたいと思う。

とにかく、あいつには今まで付き合ってくれてありがとう。と言いたい。
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by masa3406 | 2012-11-11 21:44


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