謎の都会に出没する若者の果物売り

去年、会社帰りに銀座の交差点を渡ろうと横断歩道で信号が変わるのを待っていると、
突然「八百屋ですけど」と声をかけられることが何度かあった。
声の主はだいたい20代前半の若者が多く、男性の時もあり女性の時もある。

その若者が、いかにも格好に不似合いな果物の入ったケース(よく八百屋で市場から仕入れてきた時に入っているケース)
を持って、これ今日、市場で仕入れたばかりなんですが、売れ残ってしまったので
安くでお売りしますよ。(だったと思う)といったセールストークで声をかけてきた。

俺は、俺の格好を見てくれ。
このスーツのいかにもサラリーマンの男が、これから乗るであろう
混んでいる帰宅ラッシュの電車に果物を持って乗りたいと思うか?
すでに片手は鞄で手が塞がっているのに、これ以上荷物を持ちたいと思うだろうか?

と売る相手に俺を選んだのことを疑問に思いながらも、いいです。とだけ返事をしていずれも断った。

帰宅時刻。銀座。サラリーマン

売りにくいよな。 仮に果物を買うとしたら、みんな近所のスーパーで買うと思うよ。普通

22時くらいだったこともあり、こんな遅い時間まで大変だなと同情した。

その時に印象的だったのは、いずれもその若者が男ならスリムなイケメンで
女性なら清潔感のあるかわいい人で、さわやかな笑顔だったことだ。

普通の仕事をしていたらソフトで感じの良い人たちで、
その人たちが果物のケースを持っている姿は、非常にミスマッチだ。

多分、容姿やスタイル。清潔感で選んでいるんだろうな。と思ったほどいずれも爽やかで容姿もよく
太っている人も見かけたことがなかった。

俺が断るといずれも、微塵も食い下がることはなくさわやかな笑顔ですぐに引き下がり、
また別の人のところに行って声をかけている。

それを見て、彼らはなんでこんなことをしているのだろうか。 大変だな。と気の毒に思った。

その後、千葉県の妙典や外回りの仕事をしていて、同じように果物のケースを持った若者を
会社の近く以外でも頻繁に見かけるようになった。
また声をかけられては面倒なので、近寄らないようにした。

最近は、俺の近所にも出没しているようで
不思議に思ってネットで調べてみたら、
これはダイナミックフルーツというマルチ商法の組織なんだそうだ。

別の求人を掲載して若者を集めて、将来の夢を実現させるという名目で蓋を開けてみたら
二束三文で組織が買い取った果物を、各地に散らばって
フルコミッションで行商をさせられるシステムのようだ。
あくどいことに、自分であらかじめ果物を買い取らせてから売りに行かせるらしく、会社にとっての
損失はなく、売り子の彼らは使い捨て。
吸い上げて儲かるのは、マルチビジネスの親ばかりだ。

子もいつまでも騙されていてはくれない。気づいてやがて去っていく。

遅い時間まで、俺みたいなサラリーマンに声をかけていたのも、買い取らされた果物を1つでも多く
売りさばこうと、なりふりを構っていられなかったからなのだろう。

1個いくらの果物を完全歩合制で外で通行人に声をかけ続けて売るなんて、
あまりにも難易度の高いミッション。さながら罰ゲームか苦行にしか思えない。

俺が見たところ20代前半の若者が多かったのも
まだ世の中の酸いも辛いも味わったことのない世間知らずで純粋な年代が、
この手のビジネスの格好のターゲットだからだ。

いずれも、権利意識の低い 大人しい人。純粋でお人好しなタイプの人間がターゲットだ。

なんで、俺がこんなことをしなきゃならないんだよ。
などと不平不満をいうような、権利意識が高いタイプの人間はこの手のものには引っかかることはない。

俺が前に友達に連れて行かれた自己啓発セミナーも、いかにもお人好しそうな
20代前半の純粋そうな人ばかりだったのが印象的だった。
会員になるには、23歳だかの年齢制限もあったほどだった。

こうした若者の無知に大人たちがつけ込んで食い物にするマルチビジネスが、
今も横行していることに憂いを覚える。

果物と純粋な若者というきれいなものを利用して、
汚いことをすることに世知辛さと物悲しさを覚えた。
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by masa3406 | 2013-08-13 10:01


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