ラーメンの鬼 佐野実氏

TBSの番組のガチンコラーメン道でも知られる
ラーメンの支那そばやの佐野実氏が糖尿病で亡くなったニュースを見た

かなり前に当時あった、彼の営む店の神奈川県の鵠沼にあった本店に友人と行ったことがあった。
そこは今ほどのラーメンブームではなかった時代に
閑静な住宅街にあるのにかなりの行列ができるほどの美味いラーメン屋として有名な店だった。

その店には別の側面があり、当時、コワモテで知られる佐野実氏による

私語は厳禁。強い香水をつけての入店はお断り。携帯も禁止。

もし私語がうるさいようなもんなら
佐野実氏ににらみつけられながら即座に店から追い出されるという、
俺ルールのある怖い店としても有名な店でもあった。

当時、俺たちはその店の味と雰囲気はいったいどんなものだろうかという単純な好奇心で訪れたのだ。

到着すると住宅街の中にある店に行列が出来ていて、どれくらい待ったのかは忘れたけれど
ようやく中に入るとお弟子さんらしき2人がコの字型のカウンターの中の
厨房で調理をしているものの残念ながら肝心のお目当ての佐野実氏の姿はなかった。
当時、出店したばかりのラーメン博物館にすでに佐野氏はかかりっきりで、こちらの店は弟子達に任せていたようだ。

ただ、壁には 静かに!との大きな文字が書いた紙が貼られていて、
店内は満席にもかかわらず誰一人として会話をする者もなく、
お弟子さんたちも無表情で会話をすることもなく、黙々とラーメンを作り続けていて
店内が調理する音のみでシーンと静まり返っていて、
なにも悪いことをしていないのに
なにか怒られるのを誰もが恐れているかのようなピリピリと張り詰めた
異様な店内の空気だったことを今でも記憶している。

佐野実氏がいなくても、この静寂の緊張感がある異様な雰囲気なのに
ここにいたらいったいどんな雰囲気なのだろうかと思うほどで、
友達と話すときも主はいないのに怖い先生の授業中のように
ビビリながら声を潜めてヒソヒソ話をした。

麺を湯切りする音と客のスープをすする音のみが聞こえてきて、
これじゃあラーメン屋というよりも怖い師範代がいる道場みたいだとおもった。

味の方はあっさりした醤油のスープだけど、佐野実氏がこだわり抜いた食材が凝縮したお上品な
深みがあるコクがあって、弾力のあるつるつるした麺との調和も取れていてジャンクな味というよりは
しっかりと出汁を取った上品な一杯だった。

なぜこだわりぬいたと思ったかというと、店内に使用しているのは○○産の卵だとか
○○の塩だとか能書きが書いてあったからだ。

ラーメンを食べて出てきたときは、遠慮なく友達とちゃんと声を出して会話ができることに
ホッとしたのを覚えている。

後に、佐野氏が常連の飲食店で働いている女性と知り合い、彼はテレビの怖い頑固親父のイメージとは違ってやさしい人で店に長居をして飲み続けるほどの大酒飲みであることを知った。

だから、たぶん俺の親友のように酒も原因の早死にだったように推測する。

その後は、ラーメン博物館内で館内に出店しているお店の麺を打つ姿で
遠目に何度もお見かけしたことはあったのだが、その仏頂面のお顔はテレビのイメージそのままに
怖そうで近寄りがたく、チキンな俺は、
ついぞ近寄って佐野氏の麺打ちを見ることはできなかったのは返す返すも残念であった。

ラーメン好きの一人としても、ラーメン作りに情熱をかけた象徴的な人物の死のニュースは
とても寂しくもあり心からご冥福をお祈りしたい。

美味しいラーメンをありがとうございました
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by masa3406 | 2014-04-12 07:15


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