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忍耐力

涼しくなって食欲が湧いてきたせいか、お好み焼きが食べたくなり、
高校時代の友達を誘い、夜中に広尾の天現寺の交差点近くにある
お好み焼き屋 のろ に行ってきた。
http://okonomiyaki-noro.com/menu.html
ここは、本場の関西風で前から美味いと有名らしく気になっていた店で、
ネットで調べると、あの島田伸介が出資者らしかった・・・。
店は明治通り沿いにあり、照明をやや落としたダイニングバーのような黒中心の内装で
カウンターが奥にあり、椅子席が4つほどとそう広くはなく
行った時間が夜中ということもあり、すんなりと席に着くことができた。

友達が運転なので、俺も酒の注文は我慢することにした。
メニューはさほど多くもなく、人気メニューらしいお好み焼きの
のろ焼にんにくと のろ焼きもちチーズを頼んでみた。
最初から調理した状態で出てきて
どちらも、大きさは小さくもなく大きくもなく、
あっさりしていてでも出汁と混ぜてあるであろうソースの味が
程よく主張していてくどくなく、ちょうど口当たりがいい感じで美味かった。
中身もほどよい柔らかさでちょうどよかった。

関西風なので山芋を使っているのだとは思うが、山芋の味はほとんど感じなかった。
あっさりしていておそらく、女の人には特に好まれるんじゃないかと思う味だ。
デートなんかにはいいのではないかと思う。
その後に追加で塩焼きそばを頼んだが、こちらは塩味の出汁と
麺をからめてあって海老なんかが入っていて、コクがあって美味かった。
値段は1つが1000円ほどで、決して安くはないのだが
粉ものなのですぐに腹が膨れ十分満足した。
バイトが六本木と近いので、また来てもいいかなと思った。

帰りに近いので、恵比寿の同級生が経営しているバーに寄ってみた。
せっかくこっちに来たし、もう1人の同級生はまだ来たことがなかったので
今回は軽く挨拶だけしていこうと思っていた。

そいつとは高校時代は仲良く話していたけど、
俺の今の生活圏から遠く、ここはカクテル類の酒しか置いていないので
去年の何月かに行ってからは、なかなか来る機会がなかった。
1杯が1000円くらいするので、焼き鳥やモツ焼きなどの
つまみを食いながら飲むのが大好きな俺には
酒だけで数千円してしまい、なんとも物足りなくコストパフォーマンスに
見合わなかったからだ。

そいつは、高校時代は毎日がいかにもだるいといった雰囲気の遊び人で、
進学校で真面目な奴が多かったうちの高校には、
落ちこぼれだった俺同様に、なんとも雰囲気的に似合っていない奴だった。
そいつは遊び人グループに属していて、
なんとなく堅実なサラリーマンや会社勤めが似合わなさそうなキャラな奴だったので、
今バーを経営しているのは、なんともマッチしている気がした。
人ってのは、見ていて俺なんかもそうだけど
結局どんな環境を出ても人間関係を含めて巡り巡って
自分のキャラに合った交友や環境に落ち着くように思える。
俺の母親なんかは、エリートやインテリ層とは程遠い
俺のまさにそんな人種が大嫌いなのだけど。

もう夜中なので店が開いているか心配だったけれども、
行くと常連らしき客がまだ2人ほどいて、
暗い照明の中、同級生がカウンターにいるのが見えた。
店に入ると、同級生が驚いた顔で おお!久しぶり~ と俺たちの名前を呼んだ。
ちょっと前よりも顔が疲れている気がするけど、変わってない。
そりゃ前に来たのが、1年前だから当たり前か・・・。

2人ほどいたお客さんは、ちょうど帰る時間だったようで会計を済ませて
出て行き、友達はサービスでジンジャエールの小瓶を出してくれて、
俺たちはカウンター席に座りお互いの近況報告なんかした。
そいつは、去年2人目の子供が生まれて休日は家のことで追われて
自分の時間がほとんどないらしかった。
ほかの友達も言っていたけど、2人目が出来ると完全に家族中心になり、
自分の自由が完全に失われてしまうものらしい。
ほかの友達もそうだが、2人目ができると急に付き合いが悪くなり
休日に遊ぶ機会が極端に減る。
明日は、休日なのだが子供の運動会の手伝いに行くらしかった。

途中で、同級生がこの店を出すに至った経緯の話になった。
同級生は大学を中退してしばらくバーでバイトをしながらブラブラしていて、
ある日,このままでは自分は一生フリーターでだめになってしまうと思い、
決意して、カクテルやらのこの業界の専門学校に通うことにしたそうだ。
それは卒業すると、老舗の有名なバーを勤め先に紹介してくれるからだった。
やがて専門学校を出て、同級生は老舗の店を紹介してもらいそこで本格修行をした。

修行先の老舗の有名なバーでは、この世界では名の知られたベテランの
50過ぎのバーテンの師匠がいて
とにかく厳しかったそうで、毎日怒鳴られたり仕事や自分の作ったカクテルを
けちょんけちょんにけなされ、毎日むかついたり凹みながらも、必死にそれに耐えたそうだ。
高校時代から、だらだら惰性で生きてきたそいつの本質を見抜いたのか、
とかく厳しく当たられたらしい。
毎日が理不尽で、ほめてもくれないしこのオヤジ殺してやろうかと何度も思ったよ。
と同級生は笑いながら当時を語った。
その後修行先を別の老舗でもしたのだが、
そこでも同様に厳しく、同級生はそれを耐え忍び、いつか独立してやるぞ 独立してやるぞ
と日々思いながら数年後にようやく独立できたそうだ。

同級生が言うには、そういう否定されたり理不尽な事を言われ続けた期間があったからこそ、
何くそ!と思い
何とか認めてもらおうと自分なりのカクテルを追求し続けて、それを否定されても
負けないぞ。いつかこのカクテルを独立して店を出して客に認めてもらうぞ!
とメラメラと闘志を燃やし続けることが出来たそうだ。

そいつが言うには、そういう理不尽さや我慢する修行期間を経験していない人ほど、
負けん気が育まれることもなく、根性も身につかないそうだ。
そして、自分なりのカクテルを考え続け追求することもなく、
店を始めても、つらかったり飽きたら我慢できずにすぐにやめてしまう傾向にあるそうだ。
耐えて耐えて耐え抜いて出した店だからこそ、少々のことでは動じないし
我慢できるのだそうだ。
今店をこうして大変ながらも続けていられるのは、
その期間があったからだよと同級生はしみじみと語った。

昔からこいつは語るのが好きな奴で、授業中もいろんなことを
語っていて懐かしく思えたのと同時に
俺には、とてもそいつが大きく見えた。

一緒にお好み焼きを食べた友達にも注意されたけど、
昨日、ちっちゃいことでキレていた自分がとても恥ずかしく思えた。

時間はいつの間にか4時過ぎになっていて、
同級生は友達と駐車している車まで、見送りに出てきてくれた。
外は冬の到来を思わせる、冬の空気の臭いと肌寒さを感じた。
by masa3406 | 2008-09-28 17:54


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