人身事故

仕事先の先輩が最近、海外旅行に行ったのだが、
その帰りの出来事で俺にちょっとこれを見てくれ。とデジカメを見せながら話し始めた。

先輩は、空港からの自宅に帰る東京方面の電車に乗っていたわけだが
その最中に人身事故に遭遇してホームで電車が緊急停車してしまったらしい。

ホームは対面式で上り下り線とあり、先輩が乗っていた電車は上り方面。
自殺者志願者はその反対側の下り方面に来た電車に飛び込んだのだが、
距離を誤ったのか目標物を飛び越してしまい、反対方面の先輩が乗る
上り列車に衝突したのだそうだ。

その瞬間急ブレーキとともに電車は停まり、先輩はそこから車内から経過を観察していたのだそうだ。
そこから先輩はデジカメを回し始めたのだが、先輩の撮影した動画では、
まず最初に、乗務員らがホームに集まって一斉にゴム手袋をはめて、
さあ片付けるぞといった様子でホームに降りていって
1度視界から消えた。
先輩は、その段階で死んでいてバラバラになっているのかなと思ったそうだ。

それから、結構な時間が経過してから
慌しく乗務員たちがシーツに包まった人らしきものを載せた担架を運んでいて、
動画では、乗務員数人がそれをいったん下りホームに乗せて置いていた。
置かれた担架の白いシーツの下からは、明らかに不自然な方向に曲がった靴を履いた男の足の
ようなものが見えている。
折れているのは間違いない。
シーツからは、血が染み出しているようには見えない。

ホームに無造作に置かれた担架の横には乗務員が1人だけ担架の横にいて、
その他の乗務員や駅員たちは、みな飛び込んだ電車の点検のためであろう方向に
また戻っていった。
そうしていると、なんとシーツの横から腕だけがにょきっと出てきて、
腕を上げた様子が映し出されていた。
なんとしたことか、生きているようだ。
顔はシーツの下で見えないが、腕がうめいているように苦しそうな動きをしている。
それなのに、横にいる乗務員は介抱や救護体制に入るわけでもなく放置をしている。

それからしばらくしてようやく、救急隊員が駆けつけるわけだが
先輩いわくホームに乗せてからその間7分。

1通り映像を見せてから
先輩は、この有様をずっと見ていて大変憤りと恐怖感を覚えたことを
俺に堰を切ったように一気に話しだした。

まず、担架を運んでくる段階で頚椎が損傷しているかもしれない人間を
誰も頭を抑えることもなく運び、雑によけるようにホームの地面に置いた扱いについてで、
この対処1つで植物人間になるかならないかの危険性の分かれ道になるのだそうだ。

また、死に瀕した人間を鉄道員達は放置をして鉄道の点検や片付け優先に去っていったことと、
1人担架の横にいた鉄道員は、ただ立っているだけで一切触れなかったことだ。

鉄道員達は、重症を負い死に瀕した人間に対して救護活動をするわけでもなく、
放置をしたのだ。

この事はつまりは、鉄道会社の

鉄道の運行の再開>>>人命の優先順位のスタンスを示していて、
人間1人の命が助かるかもしれないのに
誰もが鉄道の再開作業を進めるのみで瀕死の人を救護するわけでもなく
救急隊員が駆けつけるまで放置をしたまま。
もしかしたら、その間の措置で生死の明暗を分けるかもしれないのに係わらずだ。

たとえ自殺志願者とはいえ1人の命。

先輩は、鉄道員達が誰もが人の生死に対して無関心で、
なんて恐ろしい事だと異常さを感じたのだそうだ。

これが道路交通法だと

道路交通法の規定
第72条1項、
「交通事故があつたときは、当該車両等の運転者その他の乗務員(中略)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。」これらの義務を怠ることから道路交通法(事故における負傷者救護義務)違反に問われる

とはっきりと負傷者を救護義務 人命救助義務が銘記されている。
なにを置いても人命優先なのだ。

しかし、これが鉄道法だと運行優先に変わってしまうのだろうか?

自動車の人身事故に例えるなら、はねて倒れている人をとりあえず道路脇によけて放置をし、
皆で道路を掃除したりすぐに走れるように車の点検をしているようなものだ。

先輩が言うように、大変異常な事である。
こんな処置が、人身事故が頻繁に起きている東京では当たり前のように
日々、行われているのだろうか。
助かった人間も、助からなかった事例も多いのではないだろうか。
誰も知らない、恐ろしい現実だと思ったと同時に
俺も大変疑問を覚えた話であった。
by masa3406 | 2011-04-29 06:16


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