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好きなこと

ジムに仲良くしている高校生がいて、今年入学した高校が合わないという愚痴を4月からよく聞かされていた。
プライベートもジムワークも充実していなくて、モチベーションの低下はいかんともし難く、
このままでは腐りそうだと言う。

俺も高校時代に腐っていた時期があるので、彼の悩みもわからなくもなかった。

そこで、気分転換になればと思い彼が前から興味があった
俺の友人が長く通う総合のジムに彼が体験入門できるように友人に頼むことにした。
友人は、快諾をしてくれて彼は喜んで練習に行ったわけだが、
それをきっかけに彼のもともと持っていた総合熱に火がついてしまい、
帰ってきて以来、彼がうれしそうに俺にするのは総合の話ばかりだ。

彼が言うには、当日は行く前から電車の中でワクワクしてして、
練習に参加したときも楽しくて楽しくて仕方がなく、それはもう至福のひと時だったようだ。

もともと彼は、小学生時代にPRIDEを見て育った世代なので、
総合に対する憧れは相当なものらしく、いつかあの舞台に俺も将来立ちたいと思って、
彼は、小学生時代を過ごしていたんだそうだ。
それがPRIDEが消滅してしまい、こっちの世界に来たようだ。

仲間の試合を応援に行っても、同日に開催されている総合の試合の結果を携帯で見て
試合そっちのけで俺にその話をうれしそうにしてくる始末だ。
もうプロの試合を見ても、あそこに自分が立ちたいとは微塵も思っていないのだろう。

彼は、キックの実力はプロと同レベルにあり将来はかなりの所まで行く実力はあるのだが、
これは困った問題だ。
以前、俺がボクシングの出稽古に連れて行っていた高校生2人は、
そこからボクシングにはまり2人ともボクシングの道へ行ってしまったことがあり、
今回、俺としたことがまたかと言ったところだ。
結局、ジムが日頃から面倒をよく見てあげて、心の部分でつながっていないと
こういう結果を及ぼしがちなのかもしれない。
最近の少年たちを見ても、ジムに来る少年たちは大人たちが思う以上に
コミュニケーションを必要としているものだ。

本当は本人が好きなものをやるのが1番いいと思うし、少年時代から憧れていたとあっては、
俺も自分の考えを押し付けるタイプではないし、
目を輝かせてうれしそうに総合への憧れを話す彼を目の前にして、何も言うことはできない。
総合のジムの友人も、あれだけ好きならやればいいと思うと言うほど
彼から並々ならぬ情熱を感じたようだ。

とりわけ男の少年時代の憧れというものは特別なもので、
純粋で誰も触れることもできない大切な宝のようなものだ。
だから、大人の俺なんかが安易に意見を押し付けることはしたくはなかった。

俺も近々、別の世界を見たいと長くお世話になったジムを別れて、
別のジムに移ろうと考えているところで、そういう話を公にはしていないけど
親しい仲間として彼に内密に話していたのもジムへの愛着をさらに無くす要素になり
良くなかったのかもしれない。

1人のキック好きの人間としては、彼はキックの才能が特別にあるだけにとても残念でならない。
人材の損失とも言える。

けれど、人生1回きり。
若い大切な時代は、好きなことにどこまでも純粋に燃えるような情熱を持って取り組んで欲しいものだ。

親がキックをさせたい意向もあるし、今後彼が、どちらの選択をするかはわからないけど、
俺は親しい仲間として、ここは自分の願望は胸に閉まっておいて止めないことにした。
彼には、悔いのない充実した楽しい人生を生きて欲しいと思う。
by masa3406 | 2011-10-04 02:59


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