不義理

駅の近くで前の会社の同僚にあることを伝えるために待ち合わせをした。

仕事が忙しいのか22時過ぎの待ち合わせになり、改札口から出てきた彼は
転職した仕事にまだ慣れずに苦労しているのか、
幾分か疲れた表情をしている印象を受けた。

余計に申し訳ない気持ちになった。

実はお話をしたいことがありまして。と言うと

内容は、多分わかっていますよ。社長から連絡が来たので。

と言われた。
もう彼の耳に入っていたのか・・・。

出張を翌日に控えていたし、時間がないということなので
駅近くのファミレスに行って奥の席を案内されると2人でドリンクバーを頼んだ。

色々と経緯はあったのだが、
その人は今の会社の紹介者で、結果的にコネ入社をさせてくれたいわば恩人だ。

不義理なことに今回そこを俺は辞めたのだ。

彼には入社先の社長から電話があったそうで、経過の詳細は語られてはいなかったようだけど
最後に、俺とはこれまで通り付き合ってくれ。と言われていたそうだ。

もちろんそう決断するに至ったのには、いくつか理由があった。
入社前に聞いていた営業として俺が販売促進する商材が、入社してから二転三転して変わったことだ。
商材で納得して入社していたので、俺にとってはこの事実は根幹を揺るがすようなことだった。

他にも朝礼で社員たちが1人1人絶叫していて、それが毎朝あり
この雰囲気は合わないなとドン引きをしていたこと。

他にもあったのだが、そこに決定的な追いうちをかけたのが胃の不調だった。
俺は、そこで続けていく自信を完全に喪失したのだ。

彼は「でも、多分やめるとは思ってましたよ」
と笑わずに静かに言った。

前回会った今月の初めは、まだやめるつもりはなく迷っていた時期だったのは事実だが、
紹介者に余計な迷惑をかけんと、いっさい胸の内は話さないでいた。

それだけに、どうしてそう思っていたのかとびっくりした俺は逆に
なぜそう思っていたのかと質問をした。

すると、俺が会社の社員が絶叫している特殊な朝礼の雰囲気が苦手だともらしたときにそう思ったのだそうで、
この人は本当にいつもながら相手の事を観察しているなと
見透かされたような気持ちになった。

実際はその時に俺がそうもらした言葉以上に、
その時の俺の雰囲気や表情でそう判断したのではないかと思った。
それくらい、この人は女性のように表情から察する能力に長けている人だった。

「だから、最初の3ヶ月は慣れるまでとにかく我慢をしてくださいといったんですけどね。
あそこは、金払いも良いし社長もいい人だし、いい会社だったんですよ。」

と無念そうに言った。

確かに給料は悪くはなかったのだけど、内容的なものもどうしても俺は折り合いがつかなかったのだ。
俺の場合は、仕事とは条件よりもある程度好きじゃないと続けられないのだ。

わがままかもしれないけど、性格的にこれはどうしようもないと言ってもいい。

その次にとても核心的なことを言った。

「○○さんは、人の話は聞くけど咀嚼をしないから。他人のアドバイスよりも自分で決めた結論をだしちゃう。」

「でもそれは俺と同じだから。 俺も人にどんなアドバイスをされても頑固だから自分で決めたことに
従っちゃうから。」

これは昔から母親にもよく指摘されていたことで、俺の根本的な欠点とも言えた。
頑固で妥協ができないのだ。

この人は、前から観察力が鋭いとは思っていたけど、ここまで本質を見抜いていたとはと俺は内心、恐れ入った。
そこまで俺という人間を深く理解して付き合ってくれていたのだ。

それだけに、裏切って申し訳ない気持ちになった。

本来なら、やめる前に相談をすべきだろうし辞意を表明した時点で報告するべきなのだが、
そうすると止められたり決まっていない仕事を心配されてしまうことはわかっていたので、
結果的に俺はこうしてしまったのだと思う。

結局、俺が選んだ結論は、好きだった経験職に復帰することで、程なくしてその転職が無事に決まった。

先のブログにレスしたYさんの「人生は好きなことをしたほうがいいよ。」という言葉が最終的に俺の背中を押す形になったのだ。
他にも以前の同僚や上司4人に相談をしたのだけれど、
4人とも好きなことをやったほうがいいよ異口同音に言ってくれたので、
その言葉は取った選択に少し不安だった俺には力強い応援になった。

社長は、これはタイミングだから仕方ない。気にしないでください。
その会社で力をつけたら、またぜひうちに来なさい。

と不義理をした俺に言ってくれて、男としての人柄の素晴らしさと器の大きさを感じた。

そういった言葉を大切にして頑張っていこうと思う。
by masa3406 | 2013-04-27 19:26


<< 犬との別れ 胃の不調 >>