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2013年 07月 23日 ( 1 )

女性を見る目のなさ

去年いた店で、よく話す20歳の子がいた。
その子は顔が小さくてほっそりした中背の美人で、静かで控えめでいつも笑顔を絶やさない
のんびりしておっとりした性格の子だった。
でも、店が終わるといつも眠そうにしていた。

俺にとっては、のんびりしていて美人でやたらと眠そうな人。
それが彼女のイメージだった。

なんのきっかけで、その子と話すようになったのかは覚えていない。
俺も、昼間働いていて眠いので、多分そこに親近感を覚えて話しかけたんだと思う。

話すとその子は、当時は専門学校に通っていて朝は5時半起きらしく、
なんと俺よりも睡眠時間が短かった事実にびっくりした。

上には上がいるものだ。
それは無理もなく眠いわけだ。

その子は、小説を持ってきていてそれを忘れていったことがあった。
読書好きとは夜の世界の女の子にしては珍しい。

俺も読書が好きだったので、そこにこの子は会話ができる子だなと
シンパシーを覚えて、いつしかそれをきっかけに読書の話や
使っているスマホがお互いに同じでかなり古い機種だったので、
それがいかに使いにくいかの話で盛り上がって、
それをいつ新しい機種に買い換えるかの話なんかをよくしていた。

あるとき俺が読んでおもしろいと思っていた、キックボクサーの自伝を貸したことがあった。
その本は、内容は面白いもののやや筆者の人格的にはちょっとひねていて癖があるので、
受け付けない人は受けつない可能性があったわけだが、
その子は後日それを面白かった。
ああいう本は好きだと目を輝かせて言ってくれた。

この子は感性が合って話せる子だな。
俺はその思いを強めた。

それからプライベートの話やその子の将来の話。
潔癖症であってその子はつり革が握れないこととか、恋愛観とか色んな話をした。
俺が話す話をじっと聞いてくれてるし、いつもニコニコして柔和で話がしやすかった。

俺の目を見るときの目が輝いていて、それが気恥ずかしくはあったけど
いつも話すと人懐っこく接してくれた。

店では他のキャストさんとわいわいつるんだりせずに
帰りにそのまま歓楽街へ遊びに行くこともなく、静かで1人でいることも多い子だったので、
そんな派手さのないところもこちらも信用しやすかった。

会話を探さなくても話がいつまでもできる子で、物静かで優しい雰囲気で話していて空気が楽だったのだ。

去年の俺は、なにもかもが面倒くさくて恋愛にはまったく興味がなかったので、
その態度に勘違いをして恋心を抱くことはなかったのだけれど、
人間が良くて感じの良い子だなあと人間的な好感は抱いていた。

彼女は片親で、妹と2人で住んでいて食事を作ったり家事を
そのハードな生活の合間にしているという、心優しい頑張り屋さんだった。
専門学校の卒業と就職が決まっていて、それでもしばらくは生活のために夜はやめないで、
続けると言っていた。

俺は、就職したばかりは辛いから両立するのは、学校以上に大変だよと
言ったし内心ではその懸念もしていた。
就職した子が、すぐにシンドいと会社をやめてまた夜の世界に舞い戻ってくる事例は、
今までいくつ見たかわからないほどだったからだ。

それから2ヶ月ほどの時が経過した頃、
俺は昼間の仕事がまさに成績が良く充実している時で多忙を極めていて、
夜の仕事との両立はそれこそ限界に来ていた。
人のことを心配している場合ではなかったのだ。

いつしか俺は、昼の仕事の疲れや連日の睡眠不足。
店の理不尽な要求にいらだちを隠せないようになってきていて、
もうやめてもいいやと半ば捨て鉢になっていた。

その子を含めたキャストさんとの良好な人間関係よりも、いつここから脱出をするか。
それが俺の最大の関心事へと変わっていった。

俺はすっかり余裕をなくしていたのだ。

せっかくその子が話しかけてくれても、イライラして心ここにあらずの時が増えていった。

お前はカンニングの竹山か?とツッコミを入れたくなるほど
あの時の俺はキレキャラだったと思う。

その子は、ちょうどその頃は卒業をし、就職をして新人研修の真っ只中だった。
どうも入社した会社がブラック企業で、社会保険もなく使い捨てで給料も安いから、
続けられるか不安だとこぼしていた。

せっかくああして毎日、睡眠不足でも頑張って専門を卒業して就職が決まったのに、
なんてこの世は理不尽で気の毒なんだ。
こうやって未来ある性格の良い若者が食い物にされているんだな。と憤ったのを記憶している。

そして、ある日突然俺はやめることになった。
いつもなら、話すような子とは電話番号くらいは交換しているのだけど、
最後は、そんな日々を過ごしていたのでなんとなく聞かないまま逃げるように店を去った。

あんな店、糞くらえだった。

しばらく経った頃に、あの子元気にしているかな。
スマホは買い換えたんだろうか
ニコニコ笑っていた顔をふと思い出すことがあった。

最近 前の店でよく話していた子 Aさんと再会をした。
Aさんは、いままたそのお店にいるので、
○○ちゃんは元気? ○○ちゃんは?とその店のキャストさんの話になった。

すると驚くべき事実が判明した。
Aさんは一時的に店を変わってつい最近までその別の店にいたのだが、
なんとそこにそのニコニコしていた読書が好きなあの子もいて再会をしたのだそうだ。

Aさんとその子は、俺がいた店ではとくに話す関係ではなかったらしく、
どんな子か知らなかったらしいのだが、

その店でのその子は、その美貌とキャラを生かしてすっかり売れっ子になり
かなりドギツイ色恋営業を行っているらしく、
客を何人も手玉に取り、金を引っ張るだけ引っ張る情け容赦ない
ケツ毛まで抜くようなえげつない子で有名だということだった。
金になる客なら手段としての枕もするというのだから、
その話を聞きながらただただ驚くのみだった。

それがエスカレートして、家にストーカー化した客が頻繁に出没する事態にまでなっているとのことだった。

就職した会社はとうに辞めていて、今では夜1本で本業になっていて、
すっかり水商売に染まりきっていると言うではないか。。。。

去年のニコニコしていた彼女の顔を思い浮かべても、話のそれとがとても結びつかなかった。

そのえげつなさがゆえに、他のキャストさんもすっかり彼女に対して引いてしまっているとのことだった。
同業ですら引いてしまうほどと言うのだから、あるラインを超えているのだろう。

なんの営業でもそうだが、人を騙したり恨まれるようになったらそれは間違っていると思う。
たとえ水商売とも言えどもで、最低限の節度や武士の情けは持たないとならないと思うのだ。
なにかの目的のために手段を正当化するようになったらお仕舞いだ。

俺はよく話していた去年からは想像がつかないことと
こんな気さくな、いい子だったんだよと話すと、あの子が?と、Aさんのとても信じられないと言った様子に
こちらが驚くほどだった。

去年のあくまでのバイトの片手間のホステス業とは違って、彼女はすっかり一人前の
生き馬の目を抜くような世の中をしたたかに生きる
手段を選ばないえげつないホステスへと姿を変えていた。

ジキルとハイドで、まるで二重人格のように人が変わってしまったようだ。
あの彼女はもういないのだ。

去年、キラキラした目で、最近この仕事が楽しくなってきていると話していて
この子、夜から抜けられないかもな。とふと思ったことがあり、その兆候は伺えたとは言え、
あの気さくで読書が好きで派手なこともしない優しかった素直なあの子が・・・。

残念だった。

ここまで女性をしたたかに変えてしまうのかと
夜の世界の持つ恐ろしさをまた感じた出来事でもあった。

あの子にまた会いたいなあ。連絡先を聞かなくてもったいなかったな。
などと思っていた愚か者の俺は、冷水をぶっかけられるような衝撃の真実であり、
同時に、俺の女を見る目がないことが、また1つ証明されたのであった。

いまの彼女然り

いやあ、Aさんに会えて現実を知ることができてよかったです。。(´д`)

また一つ、勉強になりました
by masa3406 | 2013-07-23 06:31